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1.アルペジオの概念
アルペジオは、音楽的にそして西洋楽器の演奏技術に於いて、なくてはならない重要な要素です。故にギターにおいても正確で丁寧な練習が求められます。アルペジオがもたらす様々な効能の中で、最も大きなメリットは、右手の配置を安定させることにあります。
アルペジオとは「和音をばらすこと」ですが、ある条件を満たす必要があります。それはアルペジオの最後の音が鳴った時に、今まで弾いた全ての音が残っていることです。消音を伴ってしまうアポヤンドのタッチを使うことはできません。アルペジオを行う際に大事なのは、意識を集中して全ての音の質を揃えることです。
質を揃えるということは
1. リズムを守る(音の長さを揃えます)
2. 音量を揃える(音量を揃えることができれば、後に変化を出すことも可能になります)
3. 音色を揃える(一度弾いた音の音色を真似る形で次の音を弾きます)
これらは中長期的に達成できることを目標に練習しましょう。以上の課題をクリアできるようになったら、練習に幅を持たせても良いでしょう。
2. アルペジオの分類とその特徴
アルペジオは、状況・要求に応じて異なった対応が必要です。
・アルペジオの方向
アルペジオの多くは、上昇、下降、上下混合のパターンをとります。
・いくつかの要素がアルペジオを構成している
・連続する弦で行うか、不連続な弦で行うか
不連続の弦でアルペジオを行なうことの方が、技術的に明らかに難しいでしょう。このようなアルペジオの練習は、より上級のレベルで行われるべきです。なぜなら右手の配置を同時にコントロールしなければならないからです。19世紀の古典的なギターメソッドを見ても、初級のレベルではこの種類のアルペジオはほとんど扱われていません。
・左手のポジションチェンジがあるかどうか
アルペジオが「和音をばらすこと」であるならば、それは左手を一箇所に固定し、右手を活用することを意味します。しかし、これとは逆に左手のポジションチェンジを伴うアルペジオも存在します。代表的な例は、ヴィラ-ロボスの練習曲2番です。この曲は理論的にアルペジオの曲ですが、ポジションチェンジを絶えず繰り返します。容易な曲でないことは明らかでしょう。
・アルペジオの中で強調しなければいけない音があるか
最もよく行われるのは、メロディになる音を強調する場合です。(大抵は一番高い音か、一番低い音をa指かp指で弾きます。)強調を行う際にアポヤンド奏法を用いることも考えられますが、アポヤンド奏法を行うとアルペジオで弾かれる和音を消音してしまいます。ですので、アポヤンドで強調を行う際は、アルペジオで弾かれる他の音ができるだけ犠牲にならないよう、和音の響きを意識して演奏しましょう。
・p指に特別の要求がある場合
P指は多くの場合、旋律的な表現を求められます。その際はタッチに細心の注意を払い、あらゆる可能性を試しましょう。アポヤンド奏法、アルアイレ奏法、音色による表現など。
・ アルペジオの中に繰り返される音がある
アルペジオの中で二度同じ音を弾く場合、基本に忠実に異なった指で弾くようにしましょう。同じ指で繰り返し同じ音を弾くと、音色に変なアクセントがついてしまいます。
3. アルペジオの練習法
練習のお話をする前に、技術的なことや手のメカニズムのことをよく理解しておきましょう。
・右腕をギターの側板に合わせる際には、できるだけ力まないようにします。前腕にある腱がギターで圧迫されていないか確認しましょう。
・右肩は常にリラックスしたポジションを維持します。
・手にも力みが入らないように気をつけましょう。練習が長引いても筋肉疲労を起こすリスクを下げられます。
・ 指をゆっくりと動かして練習をしましょう。一つ一つの動きをコントロールします。
・ 一つの指が弾弦を行う際に、残りの指はリラックスしていることを確認しましょう。
・ 左右の腕を個別に練習しましょう。一つ一つの動きを確実に捉え感じ取ることができます。
・可能な限り(右)小指も脱力できるよう心がけましょう。
・ 「プランティング:planting」*を練習しましょう。(弾弦の直前に、指を弦の適切な位置にセットする行為)P指が弾弦するのと同時に残りのima指を3,2,1弦にセットする。またはpとi、pとm、pとaでプランティングの練習をしてみてください。
・上と同じ運指の練習を、プランティングしないで弾いてみましょう。プランティングをするかしないか状況によって使い分けられるようにしましょう。
・a指は特に大切な指です。なかなか自由の利かない指ですが、a指はメロディーを強調する際によく使われる指です。
・右各指はお互いに束縛されず自由でなければいけません。
トラパガ先生に質問してみました
Q.「プランティング」は最近アメリカのギタリストが使うテクニックですよね?
A.近年リリースされたスコット・テナント氏のメソッドで紹介され注目されていますが、実はスペインでもずっと昔から行われていたテクニックです。業界にはこのプランティングを行うギタリストとそうでないギタリストがいます。私は、個人的にはプランティングを常用するタイプではないですが、状況によっては使用することもあります。
Q.プランティングは、音を切ってしまいますよね?
A.プランティングの短所は、レガートな演奏ができないことです。例えばp指の弾弦と同時ににima指をプランティングするとします。ima指が弦を触り、感触を得ていることはとても良いことですが、持続音を消音してしまうのはデメリットですね。
Q.ではレッスンではどのように生徒にアドバイスしているのですか?
A.レッスンでは、pとi指のコンビネーションによるプランティングを勧めています。プランティングのメリットは、右手の構えを安定できることです。プランティングする指をpとiに限定することにより、消音のリスクを最小限にすることができます。いずれにせよ、プランティングをするかしないかは、各自の感覚による所が大きいと思います。
Q.アルペジオの練習に有効な素材はありますか?
A.どんなアルペジオでも有効ですが、ジュリアーニの作品1番「120のアルペジオ」の中から上昇パターンのものをプランティングを行って練習してみてはいかがでしょうか。プランティングがうまくできない方には、以下の練習をお勧めします。
1.まずpをプランティングし、p指を弾弦。それと同時にi指をプランティング。そしてi指を弾弦。
2. p指をプランティングし、p指を弾弦。それと同時にim指を同時にプランティング。そしてim指を弾弦。
3. p指をプランティングし、p指を弾弦。それと同時にima指を同時にプランティング。そしてima指を弾弦。
この方法に慣れるまでは、ゆっくりゆっくりと指を動かして練習してください。
*管理人補足
プランティングはこの場合「しっかり置く」のような意味で使われています。トラパガ先生のオリジナルの記事には「準備」に相当する単語が使われています。日本ではまだ標準的な技法ではありませんので、現在最も一般的と思われる「プランティング」の表記としました。
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