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弾弦について
音は音楽家にとって名刺のようなものです。一人の音楽家が奏でる音から、その音楽家の個性や音楽に対する配慮、テクニック、仕草など様々なことを想像したりすることができるでしょう。
私が思うに、音は音楽家の頭の中で事前にイメージされ形成されるべきです。そしてその音色の探求は日々の練習の中で、最も容易に実現できるように取り組まれるべきです。 理想的なのは弦を弾く前に、どの様な音が出るかを知ることです。もしそんなことができるようになれば、右手のテクニック上達のための大きな一歩を進めることになるでしょう。まず我々ギタリストがしなければいけないことは、ギターを弾かずに欲しい音をイメージできるようになることです。
我々のギターという楽器は様々な音色を表現できることが特徴ですが、ここではまず基本になる音の出し方、弾き方を学んでいきましょう。
- 右腕の配置
前章でお話したように、右腕の前腕部をギターの側板の上に配置します。固定はせず、あまり力が入らないようにそっと置いてくださいください。そうすれば必要に応じて様々なポジションを取ることができます。
左手が指板上の人差し指の配置位置によってポジションを定義するのと同じように、右手も人差し指を基準にポジションを定義することができます。見てみましょう。
まず最初のポジションは、親指が1弦上に配置されるフォーム
次に人差し指が1弦上に配置されるフォーム。この場合、親指は2弦から5弦あるいは全ての弦を担当するとしましょう。
そこから先は、人差し指(i)が2弦、中指(m)が1弦、(p)親指が残り全て_という具合に人差し指の配置を1弦ずつ上げていきます。もちろん次は人差し指(i)が3弦、中指(m)が2弦、薬指(a)が1弦ですね。そのまま人差し指が6弦に達するまでポジションを定義することができますね。こうすれば前腕がギターの側板をどう移動するか事前に知ることができますし、右腕が動き手首が曲がらなければ、指先が無理なく弦を捉えることができます。
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人差し指を基準にポジションチェンジを行います。
右腕がそのまま後方にスライドしていきます。 |
- 右手の配置
右手のポジションを見つけるには、デビッド・ラッセルが推奨する方法が参考になると思います。まず4指全て(p,i,m,a)を3弦上に配置します。(A)
これが何を意味するかというと、1弦に対する薬指(a)のフォームを容易に導き、同様に親指(p)が6弦に至るまでの範囲を自由に動けるフォームを自然に導いてくれるということです。そのまま中指(m)を2弦へ、薬指(a)を1弦へ、親指(p)を6弦へ配置してみましょう。(B)
この様に1弦から6弦まで全ての弦へ各指が自然にアクセスできるように配置され、フォームが定まります。一つの弦に全ての指を置いてから各指の配置を決めることにより、手首の角度や高さも自然と位置が決まるでしょう。
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| (A)pima指を3弦に配置 |
(B)どの指も適切な角度に導かれます。 |
- 弾弦の位置
いつでも指の同じ位置で弾弦を行うのは現実的に困難です。しかしできるだけ指の同じ部分を使って弾弦するよう心がけましょう。まず弦が指頭(肉の部分:yema)をすべり、爪(uña)の左側に達するように弾弦をしてみましょう。
ギターの音色は、タッチの変化に直に反応するものです。ギタリストは常にその音色の探求をするべきですが、ここでは基本となるタッチについてお話します。私が皆さんにお勧めするのは、指の根元の関節を使う弾弦の方法です。指の根元から指を動かし弾弦を行うと、指先3つの関節に関連した全ての筋肉を使うことになります。先に述べたように最小限の努力で最大限の結果を得る秘密がここにあります。豊かな音量が労せず獲得できます。
- タッチのスピード
タッチのスピードとは、指が弦に触れてから弾弦を行い、弦が発音するまでの時間を意味します。
遅いタッチで弾弦を行うと、丸くて柔らかい音がします。この特徴を備えた音を効果的に出すには、指頭が通常より弦に長く触るように弦に対して深めのタッチを心がけます。このタッチはカンタービレの指示がある際に有効でしょう。
速いタッチはアクセントやスタッカートとして使うことができるでしょう。
通常、タッチのスピードと曲のテンポは相対的に一致するのですが、必ずしもそうであるとは限りません。演奏者はフレーズの性質を見極めたうえでタッチのスピードを選択するようにします。
- タッチの方向
弾弦は、指先が肘に向かうように行います。肘は指を曲げるための筋肉や腱の付け根になるところです。この方向に弾弦を行えば、指先は真っ直ぐ動き、無駄な力みも消え、軽い力で豊かな音量を得ることができます。
- 準備と実践
今までお話したテクニックを獲得するために是非試して頂きたい練習法があります。それは2種類のタッチを行い音色を比較することです。各々の音色が揃うよに注意深く練習を進めましょう。そうすれば各指の絶妙なコントロールを獲得できます。
1. 弾弦をする時に指を弦に置き、準備をしてから弾く方法(ためて弾弦)
2. 弾弦する指を弦に置かずに直接弾弦する方法(ためずに弾弦)
まず親指(p)を5弦に置き、右手を安定させましょう。次に人差し指(i)を3弦に置いたら3弦に圧力を加え、弾弦を行います。ここで実際に鳴ったギターの音をよく覚えておきましょう。そうしたら今度は人差し指をためずに直接弾弦を行います。さあ二つのタッチの音色を揃える
ことができるでしょうか。是非練習をしてみてください。
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- 力のかけ方と各指の独立
弾弦の際に重要になるのは力のコントロールです。理想的なのは、弦をタッチしたときに手にかかる荷重をイメージすることです。どの位の音量が鳴るのかを事前にイメージした上で弾弦力の大きさをイメージしコントロールしましょう。
弾弦をする指ばかり気にしないで、弾弦をしない指はリラックスしていることを確認しましょう。そうすれば各指の力を独立してコントロールできるようになるでしょう。
- 弾弦のプロセス
タッチから弾弦の完了に至るまでに4つのプロセスを見ることができます。弾弦の際は必ずこの4つのプロセスを完了し、次の弾弦の準備をする際には手に緊張が無いことを確認しましょう。
- 弦との接触
- 弾弦_上で述べたようにまず弦が指頭をすべり、そのまま爪に抜けていくようにします。弦に対する指頭の深さで音色の変化を得ることができます。
- 配備_弾弦した指が元の位置に戻ります。
- 脱力_弾弦に使用した筋肉が完全に脱力した状態に戻ります。
- 指の運動軸
今回は基本について講義を進めていますので、最も基礎となる指の動きについてお話します。上で述べたように弾弦の際の指の運動軸は指の根元の関節にあります。各指の関節の動き次第で様々な奏法を定義することは可能ですが、それらは上級の講座でお話しする内容になるでしょう。まず指の根元から弾弦ができるように練習をしてみてください。
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- 親指(p)
親指(p)は他の指と正反対の方向へ動かして使用します。よって親指の弾弦は弦を下に押し下げるように行われます。弾弦が弦に対して垂直になれば、音色はより太く豊かになります。まずアポヤンドで練習し、後にエンガンチャンド(アルアイレ)でもアポヤンドと同質の音が出せるように訓練しましょう。
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- アポヤンドとエンガンチャンド
アポヤンド奏法は、弾弦の際に弾弦した指が隣の弦に触れて止まる弾き方です。エンガンチャンド奏法(アルアイレ奏法)は隣の弦に触れないようにタッチをし、弾弦する奏法です。ここで皆さんに提案したいのは、エンガンチャンドはアポヤンドと同じような方向で弾弦を行い、隣の弦に触る前に指を止めるテクニックです。
アポヤンド奏法はギターに豊かな響きをもたらしますが、演奏では楽曲内でのアクセント、通常の音とは別の音色、引き出しとして取っておきましょう。
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- 爪
爪に関する事柄は、昔からギタリスト達の間で論議されてきましたし、数え切れないくらいの文献が存在します。ギタリストたるもの爪のケアには最大限の気配りを行うべきです。
私はまず、あらゆる観点から総合して爪で弾弦を行うことをお勧めします。爪を使って弾弦することによりギターの倍音が豊かになり、音がより遠くまで響くようになります。
一方で、爪を使わない指頭奏法の有用性に関しては、既に業界では論議の対象外となっています。私は指頭奏法を選択するギタリストに対して悪く言うつもりはありませんが、指頭奏法は現在、ポピュラーな奏法ではありません。
爪に関して大事なのはそのケアです。ギタリストはそこに最大限の注意を払わなければいけません。さてそのケアについてお話しをする前に、爪の硬さについてお話をしたいと思います。
柔らかい爪は、破損しやすく問題を起こしやすいです。ただ逆に硬い爪で弾弦すると、ギターの音が硬くなり、ノイズを発生させるようになります。
よって強さを備えながら柔軟な粘りのある爪を作るのが理想的と言えるでしょう。
もう一つ大切なことをお話します。それは爪の生え方とその角度です。指先から見て爪の生え方を見てみましょう。なぜなら爪の生え際の丸み具合によって整形法が異なるからです。爪の生えている部分が通常の丸み方なら、爪先の形状も丸く仕上げていきます。しかし、丸みの強い爪である場合は、逆に爪の両端で一度水平を出し、それから中央に向かってカーブを作ると良いでしょう。
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爪の生え方の違いによる整形法一例 |
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日々の練習が、ギターテクニックの研究の場と例えるならば、ギターを弾く一人一人が自身の指で試行錯誤をし、自分にあった解答を見つけましょう。様々な爪の整形法を試みてください。指を弦の上に置き、ちょっと力を添えるだけで弾弦できる形を見つけることです。もし力まなければ弾弦できないのであれば、別の形を試してみてください。そして必ず仕上げの磨きを忘れないようにしてください。
※さらなる理解のために、同コーナートップページの特別映像「右手アングル」を是非参考にして下さい。
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