ギター練習に関するサジェスチョン



左手の仕組みと使い方
   押弦、上行スラー、下降スラー、ポジション・チェンジ、ビブラート、チョーキング


 「ギターを弾くには、手が大きくないと弦を押さえられない。」_という風に世間では言われていますが、私が師事したペペ・ロメロ先生やホセ・ルイス先生は決して手の大きなギタリストではありません。ここでは手の大きさが原因で「弾けない」とか「頭打ち」にならないような、サジェスチョン(示唆)をしたいと思います。

 教室では音楽やギターを楽しむことにフォーカスしたレッスンをしています。こういった練習に特化したことはレッスンの合間にさりげなく織り込みます。

 本来、各生徒に合わせて総合的に判断をした上でアドバイスをしますが、何分誰が読むか分からないWEB上での記事ですから、あくまでもサジェスチョンということで読んでいただければと思います。


I. 左手各関節のはたらきと器用度について

第1関節  弦に対する指の角度を確保する。下降スラー(プリング)に使用する。

第2関節  弦間(弦と弦の間)移動に使用する。

指の根元  押弦(弦を押さえる)、上行スラー(ハンマリング)に使用する。


手のひらを上にして軽く開いてみてください。そこから意識することなく超スローモーションで手を握ってみてください。関節が動く順番を観察してみましょう。第2関節→第1関節→指の根元の順番になると思います。これが各関節の器用度の順位です。ギターを弾き始めたばかりの時は、まず間違いなく第2関節が無意識に動くでしょう。

手を握ります
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演奏法に合わせた各関節の意識的な使用と練習がとても大事になってきます。


II. 力の使い方 ネックへの適合
上で定義した各関節の動きも、ギターの指板にあわせて垂直に指を立てて(写真A)しまうと、力を使う方向が体から逸れ、指先に効率よく力を伝えることができません。ではここで綱引きをしているところを想像してみてください。必ず自分の腰に向かって綱を引きます。それがもっとも効率よく両腕に力が入る方法だからです。基本的に全ての力は腰に向かって還元されなければいけません。





指先が腰に向かうように、指を斜めに立てて(写真B)弦を押さえましょう。

A : 一見良いが疲れる

B : 腰に向かって斜めに


III. 親指の機能と位置

親指は特殊奏法を除けば直接弦を触る指ではありません。直接弦に触る人・中・薬・小指に相対して握力のバランスを担っている指と言って良いでしょう。しかし親指は手の中で一番大きな力を持っています。使い方を誤ると他の指の柔軟性を奪うことになります。

親指の位置による効率の違い

  1. 人差し指と相対 手全体が開いた感じになるので、各指を開きやすく、さばきやすいが、大きな力は入れにくい。
  2. 中指と相対 手全体が拳に近くなるので大きな力が入れやすいが、指を開きにくい。

人差し指と相対

中指と相対

通常は「人差し指と相対」をオススメ。「中指と相対」はチョーキングを行う場合、ffで和音を弾く場合、派手なビブラートをかける時に有効。


IV.押弦と脱力

★押弦について

弦を押さえる際に留意しなければならないのは、右手を使わずに左手でフレットを押さえるだけても音が出るということです。このように左手の押弦は、楽器の出音に貢献します。ですから、右手の弾弦と同時に左手の押弦も行われるべきです。

指を弦に置いてフレットを押さえられれば、目的の音程変化は得られます。しかし名手は常に上行スラーのクオリティーで押弦しています。弦がフレットにあたった時のクリアな音を音色に加味しているからです。それでは押弦(上行スラー)を成功させるポイントをまとめてみましょう。

押弦(上行スラー)のコツ
  1. 第1関節を弦に対して立てる  指の頭で弦を触らないと音が出ません
  2. 指先から弦までの距離を確認 1cm前後が標準でしょうか。フレットにできるだけ近い(フレットは隠さない)ポイントを狙ってください。
  3. 指の根元の関節を動かす 弦がフレットに触れるまですばやく振り下ろしてください。第1・第2関節は絶対に曲げません(使用しません)。衝撃に負けない強さも必要になります。

★脱力について

押弦をより効率よく行うには、手がリラックス(脱力)した状態から行うことが必須になります。よって押さえの終えた指はすぐに力を抜いて、他指の押さえを邪魔しないようにしなければいけません。「すぐにまた使うから」という理由で脱力を怠ると、逆に押さえが難しくなります。練習では脱力が完了するまで次の音に進まないくらいの余裕を持つことです。

上行スラー動画
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ストレッチ動画
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ギターに指を合わせる前に指の動きを眼前でシミュレーションすると良いです。

脱力がうまくできない人は指を逆反らせるようなストレッチをすると良いです。


V. 各指の自然なカーブの維持、肘を意識した腕の移動、ポジション・チェンジ

手や足は末端に向かうにしたがって不安定になる_という大原則があります。リラックスした状態で左手首を返して無意識に手の平を上に向けてみてください。ここでできた指のカーブがあなたに備わった最も自然なカーブです。このカーブから指を動かせば動かすほど指先の安定度がなくなります。ですからよっぽどのことがない限り、このカーブを維持した演奏を心がけなければいけません。そこで土台となる腕を動かして指の動きを最小限にしてやるわけです。また、体の中心に近い関節を意図的に活用したほうがより効率よく大きな力を得ることができます。

肘を意識した腕の移動の一例

1.肘を前に移動 低音弦側に移動。5〜6弦の押さえに有効

2.肘を外側に移動 ロー・ポジションに移動

3.肘を内側に移動 ハイ・ポジション移動

手を裏返します
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ポジション・チェンジ
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特に和音の押さえをするときに肘の移動を考慮すると良いです。

ポジション・チェンジは脇をしめたり開いたりする要領で指より先に腕を移動させましょう。


VI.手首の意識と使用法

手首の中には指先につながる神経や腱などが通っています。そして、不運にも指先より器用で力が強くて支配的です。言わばギタリストにとって弁慶の泣き所のような関節です。ギターを始めて間がない方のほとんどは、指先の器用度が十分でないために手首の力が勝り、手首を曲げながら弾こうとしてしまいます。手首を曲げてしまうと腱を圧迫するために指をなめらかに動かすことはできなくなります。長い時間をかけて修正しなければなりません。基本的に手首はまっすぐのままということを念頭に練習を続けましょう。


しかしそんな手首ですが、使い方によっては便利なときもあります。


手首の使用法(1)

手首を曲げるのではなく、意識します。手首を意識しながら肘から先を回転させます。手のひらがブリッジ側に向くように回転させます。

  1. フレットに対して指が平行に並びます。同一フレットに2本以上指の押さえがある時に有効。
  2. 小指の指先が腰を目指しやすくなる。小指をハイポジション側に伸ばしながらの押さえに有効

手首の使用法(2)

手首を曲げて(少しだけにしてください)使用します。ここぞという時、指のリーチが足りないときだけ使います。

  1. 低音弦へのさらなるアクセスが可能
  2. ハイポジションへのさらなるアクセスが可能
これは最後の奥の手なので通常は上腕の移動で済ませましょう。

同一フレットに2本以上
指の押さえがある場合






バーベルでなくてもOK
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指先に力を入れながらも、柔軟な手首を得られるようなエクササイズをしましょう。
1kg以下のバーベル等を握ったまま手首を回す。ピック弾きの練習にも効果的です。


VII.基本フォームの定義と指間の拡張

今までの事項を留意しながら練習し、指の器用度が上がってくると自然に左手のフォームが固まってくると思います。左手のフォームは意図して作るのではなく、正しく指を使うことで器用度が上がった時に自然にでき上がるものだと思ってください。

さて、不安定である指の移動をできるだけ行わない方向で演奏を進めたいわけですが、現実そうはいかないですよね。

では基本のカーブを崩しながら指を開く場合、どのようにすればよいのでしょうか?
大きく2つの定義があります。

  1. 指を縮めながら伸ばす バイオリン奏者が使う方法。手首を回転させ手のひらをブリッジ側に傾ける。小指を伸ばし、以後、薬・中・人差し指の第2関節をまげ、人差し指に向かって次第にコンパクトにまとめていく。人差し指は指の根元から逆に反らせてリーチを稼ぐこともできる。(指と指の間を縦に開いて使う)
  2. 指を開いて伸ばす ピアノ奏者が使う方法。指の第1関節は寝かせる。指を立てられないことに加え、腰に向かって力をかけにくいのでギターには向かないが、使わなければならないときもあるでしょう。(指と指の間を横に開いて使う)

指を縮めながら伸ばす

指を開いて伸ばす

指間の拡張をするときは、できるだけ「指を縮めながら伸ばす」で対応すること。
ピアノと違い、指の間は横より縦に開くほうが圧倒的にメリットがあります。


当教室では、ギター演奏と製作理論に明るい講師が専任で指導を行います。
ソフトとハードの面から最も理想的な形でギターを勉強することができます。

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