入門用クラシック・ギターの調整方法


ここに記載している調整方法は専門知識と技術を持つギター製作者、リペアマンが行う作業です。
決して安易に真似をしないように。

入門用ギターでも的確な調整をすれば、1ランク上の音と弾き心地を得ることができます。
ここでご理解いただきたいのは、楽器をかわいがって欲しいということです。
ギターに使われる木材は、たとえ入門用であっても貴重な有限の資源ですから_


ブリッジ・サドルのビビリ解消
(弦を支えている白い部品)

ブリッジ・サドルのビビリ
(動画:写真をクリック 要RealOnePlayer

ブリッジ・サドルのビビリは、このように強く弾くとブリッジ・サドルが弦とこすれて引き起こすノイズです。音に芯が無く、ひどいと「ブーン」というノイズが聞こえます。
解決方法
サドルが弦と接触する部分を1点にします。また、弦が横ずれしないように溝を切ります。正確にはオクターブのポイントを考慮した上で山の頂点(上記の1点)を決め、頂点から弦が直線的にブリッジの穴(弦を固定している部分)に向かうように形状を修正します。写真は5,6弦が修正済み。4弦は山が点ではなく面になっています。


プロの道具
これは通常ナットの溝を切るためのヤスリです。ただ、弦の太さに合わせてヤスリの幅が調整されているので、それをサドルの形状修正に使用します。ちなみにこのヤスリ、ハンズでも手に入りません。
修正作業中(5弦)
弦をゆるめた後、このようにヤスリを立てながら、弦方向にヤスリをかけます。この時に弦がブリッジの穴へ直線的に向かうように角度を付けるのがコツです。ヤスリがぶれないように姿勢に気を使います。


修正後(ちょっとピンボケ。スミマセン)
上記のヤスリがけを行った後に、もっときめの細かなヤスリで滑らかに仕上げます。修正後はこのようにサドルに溝が切れ、サドルが弦の振動を確実に受け止めることができるようになります。チューニングや弦のもちに非常に関係の深い調整です。



ナット調整

これが「ナット」です。
ブリッジの反対、ヘッド側で弦を支える、とても重要な部品です。このメーカーは樹脂製のナットを使用し、金型で同一成型されたものを無調整でそのまま組み込んでいました。部品自体の質は悪くないのですが、無調整ではせっかくのギターが台無しです。
ナットの高さを測っているところ
(動画:写真をクリック 要RealOnePlayer
ナットが必要以上に高いと、左手の押さえが厳しくなるのに加え、チューニングも悪くなってきます。3フレットを押えながら、1フレット上に隙間があるかないかというのが適正な高さです。このギターは1mmほど高いです。
ナットを取り外した溝
低価格のギターはこういう見えないところの仕上げが雑になりがちです。ヘッドの塗面を磨いたときに出るカスがこの溝に落ち、また指板を貼り付けたときの接着剤がこのように残っています。これではナットを平面で受け止めることができません。



プロの道具
上が「目立てヤスリ」、真中が「すり板」、下が「のみ」です。この他にも↑で紹介したヤスリやスクエア、角棒ヤスリを主に使用します。「すり板」は平面が出ていて曲がらないものなら何でもかまいません。砥石を代わりに使用する場合もあります。今回は150番のヤスリを使用しました。



ナット溝整形中
目立てヤスリや、のみ、角棒ヤスリなどを使い、際にたまったカスや接着剤を掻き出し、平面に成型していきます。
ナットの整形中
ナットのすわりが悪い場合や、ゆがみがある場合は、このように平面の出ている「すり板」にヤスリを貼り付け、研磨調整をします。ここでナットの高さ調整をする場合もあります。
ナットのゆがみチェック
組み込む前に「スクエア」と呼ばれる、平面・直角の出ている工具を使い、きちんと整形されているかチェックを行います。
最終的な調整
ブリッジのサドルと同様に、点で弦を支えるように溝を削ります。この調整は、チューニングの安定にもっとも大きく寄与するので、手の抜けない作業です。



フレットのバリ取り

フレットのバリとは?

フレットのバリは、主に冬の乾燥時期にフレットとネックの収縮率の違いにより、フレットがネックから飛び出す現象を言います。こうなると左手に傷を与えかねないので削り落とします。


プロの道具

鉄鋼用ヤスリ
市販の鉄鋼用ヤスリに木の取っ手を付けた物です。ヤスリが反らなくなり、持ちやすくするためです。
サンディング・ブロック
鉄鋼用ヤスリでバリを削り落としたらこのサンディング・ブロックで滑らかに仕上げます。
マスキング・テープ
もしも手が滑ったときに、ヤスリでギターを傷つけないようにするために、ギターの要所に張っておきます。



マスキング・テープを貼ったところ
マスキング・テープを貼っておけば多少手が滑ってもギターに傷をつけることはありません。慣れた職人さんならそのままヤスリがけを行うでしょうね。マスキング・テープは弱粘テープとも呼ばれ、貼り付ける素材にダメージを与えません。ただ、貼りっぱなしは厳禁です。
バリを研磨しているところ

ネックのカーブに合わせてヤスリを傾け、フレットを削っていきます。この後はサンディング・ブロックを同じように使い、滑らかになるように仕上げていきます。


当教室では、ギター演奏と製作理論に明るい講師が専任で指導を行います。
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